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vol.85 バレルドラムの中の物語 vol.22012.11.01

バレルドラムの中の物語 vol.2

では バレルドラムの中ではどんな事が起こっているのか 、続きを
お話ししましょう。

6) バレルに投入された製品の塊はバレルの容積に影響されて、表面積が
大きくも小さくもなってしまいます。
この塊の表面積が”見かけ上の表面積”なのです。
我々は製品単体の表面積の総計を計算して、電流密度に合った電流を
流しています。
しかし、バレルの中では塊になっていて表面積が減少しているために
計算よりも大きな電流密度になり、同時に塊の表面にしかめっきは
折出しないと考えられます。
したがって、この”見かけ上の表面積”を大きくするよう工夫が
必要になります。そのイメージは広く薄く!です。
その結果としてめっき効率は改善します。

7) 従来、陽極はバレルドラムの外側に配置されています。
バレルドラムに水抜き用の穴が開けられていますが、バレル自身が
電気抵抗になっているのは承知ですね。
製品によりその穴は小さくも大きくもなります。弊社の場合は条件つきですが
バレル内に陽極を設置できます。
電気抵抗が減少する事、膜厚分布が縮小する事が大きな効果です。
節電・品質向上に寄与します。

8) バレル内の金属濃度の減少対策としてはバレルドラムの蓋をなくす事も
方法です。
蓋もしくは開放する部分があれば、めっき液をバレル内外
自由に交流させることが出来ます。
更に7でお話しした陽極が設置されていれば大いなる改善となります。

9) バレルドラムの回転数もめっき折出には大きな要素です。
表面積の多い製品は微細なものが多く、めっきも折出しにくいものですが
回転数を低下させるとめっき効率が改善します。
また反対に表面積が少ない、太いサイズの製品は回転数を上げないと膜厚が
ばらつく傾向にあります。
したがって、バレル回転数も自由に変更する事が重要です。

10) ワッシャー・ナット・重なりものなどの製品はバレルドラムの内壁に
張り付いてしまい、製品同士が重なり合うため めっきが折出しにくいのです。
ならばどうすれば良いでしょうか?
答えは簡単ですが、ひとつ皆さんも考えてみてください。
この対策を施すと30%の改善になります。

生産性を拡大する為にはスケールメリットと環境負荷の軽減を同時に満足させる
選択をすべきです。
このためには、バレルドラムを逆算して設計する必要があります。

株式会社 三隆製作

〒434-0046
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