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vol.74 めっきは表面積が重要2012.06.18

めっきは表面積が重要

ファラデーの法則によれば、亜鉛めっきの場合、単位面積(dm2)当たり1Aの電流を
1時間流すと17.1umの亜鉛めっき被膜が折出されます。

従来の亜鉛めっきは、重量あたりの通電量と整流器は定電圧で管理していました。
つまり、結果として折出した膜厚の実績を経験値として積み上げ、て処理して
きました。
ジンケート浴ではその特性を利用すれば、もっと効率の良い生産ができるのに・・・

私が新人の頃、装置を設計する際の基本条件は電流密度1.0A/dm2、めっき時間は
酸性浴であれば40~45分, ジンケート浴であれば50~55分でした。
ボルト関係が主体であり、膜厚測定部が高電部であったためめっき効率はほぼ100%
でした。
しかし 7、8年前に均一電着性の薬品が出始めた頃から測定部(高電部)での
膜厚確保が出来なくなってきました。
理由は、均一電着性の薬品の作用によるものです。

つまり高電部のつきを抑制させめっき効率を低下させてめっきを折出させるため
です。そのためにアルカリミストの発生が多く、作業者がめっき槽の近くに居られ
ない状態です。
しかし、今でもこの薬品が ”効率が良い” と信じて使い続けてられている状況
です。

私はその頃からこの方法の均一電着性に疑問を抱いていました。
めっきの「着きやすい所を無理に抑制する」均一電着性ではなく、「着きやすい所
にはつけて、別な方法で均一性を制御する」
事が出来るのではないか、と。

そこで、ジンケート浴の特性を利用することを考えました。

 ジンケート浴の特性とは !!!
1 電流密度が低い方がめっき効率は高い、電流密度が高くなるに従い
めっき効率が低下する。
2 めっき効率を低下させると 高電部のつきまわりは自己抑制する。

実に簡潔な特性でしょう!!

また、バレルには液出入りのため穴が明けられていますが、バレル内外での
充分な液の交流はされにくいものです。そのため、時間経過と共にバレル内の
金属分は減少していきます。充分な金属分の補給が為されないからです。
この補給が出来ていればめっき効率は上がります。

バレルに投入した製品の表面積を意識すれば、どのくらいの金属分が必要で
あるかは計算できます。
それであればバレルの必要容積は計算できますよね。

<例> バレル容積 100?にタッピングM3 ×10を80kg投入して8um以上の膜厚を
つけようとしたら?
タッピングM3 ×10 (30dm2/kg) とすると、
亜鉛金属は 2,400dm2 × 8um × 0.0714= 1,370g が必要です。

ジンケート浴であればめっき液中には亜鉛金属は10g/Lです、
するとバレル内には100L× 10g/L= 1,000g 必要です。

ですが、タッピングの様なワークの場合、先端部が尖っているため、バレル穴も
1.5mmと小さくなり、バレル内外のめっき液の交流、補給が望めません。
そのような場合は必要な金属分がバレル内にはない事になります。

表面積を意識していれば事前に気がつく事ではないでしようか?
では、どの様な対処方法があるでしょうか?
バレル穴を大きくすれば、バレル内外の液の交流が可能になりますがタッピングが
穴に刺さり、めっき不良となります。

この場合、液が交流し易い構造のバレル(開放型補助陽極付バレル)を選択すること
により、常に10g/?の金属濃度でめっきをする事ができます。
更にこのバレル内には陽極が設置してあるので電気抵抗も低く抑える事ができます。
実績としては電流密度 0.35A/dm2でめっき時間を70分としてめっき上がりで、
MIN6.5μm以上確保。膜厚のバラツキ3μm程度でした。

めっきをする場合 表面積を意識していれば色々な事を事前に予測する事ができます。
また整流器は1バレル1電源で定電流制御をすれば、膜厚管理は容易になります。

三隆製作は、貴社に最適なめっき装置をご提案いたします。
装置選択の際はお気軽にご相談ください。

株式会社 三隆製作

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