vol.62 合金めっきを考える2011.12.23
合金めっきを考える
Zn-鉄、Zn-Niのような合金めっきは、浴電圧が高くめっき効率が悪い
というのが一般的な評価です。
これは、バレルという閉鎖された容器の中にワークを入れるためバレル自身、
が陽極と陰極の通電抵抗になっていること、さらにバレル内と外のめっき液
の交流がなされていないことも大きな原因ではないでしょうか。
下記の点を解消すれば、合金めっきも もう少し使い易くなり普及するのでは
ないかと考えます。
1.バレル内の金属濃度が安定しない。
→ 金属濃度を一定にする。(常に補給する)
2.電気抵抗が大きい。
→ 電気抵抗を小さくする。
それでは、具体的に話をすすめてみましょう。
「1.バレル内の金属濃度を一定にする。(常に補給する)」
弊社の開放型バレルを使うことで金属濃度を常に一定にすることが出来、
溶解槽からろ過機を通った新しいめっき液をワークに直接送ることができます。
また、めっき析出中にめっき液がワーク表面を流動することで良い効果を
もたらすと考えます。
「2.電気抵抗を小さくする。」
弊社の開放型バレルは、バレル内に陽極を保持することにより、
陽極と陰極との距離を小さくすることで電圧を低下させる効果があります。
弊社実験では、フタ付バレルと開放型バレルに同重量のワークを入れて
700Aの電流を流したところ フタ付バレルでは15V、開放型バレルでは
10Vと電圧に大きな差が現れました。
しかし、開放型バレルは入口の径と胴体部の径の差にワークを入れて
回転させながらめっきを析出させるためワークのサイズに制限あります。
ワークのサイズが、大きくて大容量のものをめっきしたい場合は、
フタ付バレル内に陽極を保持した新型バレルがあります。
この場合は、1の金属濃度はバレル自身が回転しながら外側のめっき液を
補給する能力が備わっているので、常に一定の濃度でめっきは析出されます。
以上、話を進めてきましたが日本では合金めっきはまだ主流ではありません。
今後耐食性の要求が高くなれば、亜鉛めっき+3価クロメートの耐食性では
飽き足らないユーザーが、亜鉛めっき+コートで対応を考えている現状に
一石を投じることになるのではないでしょうか。
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