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vol.41【めっき新方式の提案 №3】L=270mmのボルト2011.02.08

【めっき新方式の提案 №3】L=270mmのボルトをめっきする

従来、バレルめっきの対象物の長さはL150㎜まででした。
理由は、ボルトでは高電部(端部)と低電部(軸中央部)が
はっきりしていて、ボルトが長くなると、低電部(軸部)
にめっきが析出しにくくなるためです。
近年、均一電着性の薬品が開発され、長物ボルトの
めっき用に使用されてきましたが、逆に短物の頭部に
めっきが析出しにくいというデメリットが発生していま
した。

そこで、今回提案するめっきの方法はジンケート浴のもつ特性(*1)を利用して
長物の膜厚の均一性(頭部と軸部の膜厚差5μm程度)と同時に、短物の頭部の
膜厚確保を行うもの
です。
したがって、この方式では生産性の拡大と環境負荷の軽減が両立できます!
(*1)・・・ジンケート浴の特性
電流密度1.0A/dm2ではめっき効率 70%前後、電流密度0.5A/dm2では
酸性浴と変らない95%前後のめっき効率となる。

それでは、新方式で長物、短物をめっきする場合にかかる電気代を
それぞれ計算してみます。

<新方式で長物M12×270ボルトをめっきする場合>
投入量     70kg
表面積     336dm2
電流密度    1.5A/dm2
めっき時間   40分
通電平均    6.75V 504A
整流器     12台(トランジスター型 変換効率0.82)
生産量     7000t/月

上記条件で、軸部8μm以上・両端部で許容範囲の均一性膜厚析出データが
見られます。

● めっきに掛かる電気代
6.75V×504A÷1000÷0.82×12台×24H×25日=29,871KWH/月 ①

● 電解熱による液温上昇を抑えるための電気代
6.75V×504A×0.86×12台=35,108kcal/H
35,108kcal×0.8=28,086kca
28,086kcal÷860kcal=32KW
チラーユニットRCUP375A2相当(消費電力15.2KW)
15.2KW×24H×25日=9,120KWH/月 ②

①+②=
29,871KWH+9,120KWH=38,991KWH/月
38,991KWH/月÷700,000kg/月=0.055KWH/kg
15円/KWH×0.055KW/kg=0.825円/kg
長物1kgをめっきするためにかかる電気代は 0.825円

<新方式で短物M16×15をめっきする場合>
バレル投入量     100kg
表面積        1,700dm2
電流密度       0.5A/dm2
通電平均       11V 850A
整流器        23台(トランジスター型 変換効率0.82)
生産量        1,000t/月

● めっきに掛かる電気代
11V×850A÷1000÷0.82×23台×24H×25日=157,353KWH/月 ①

● 電解熱による液温上昇を抑えるための電気代
11V×850A×0.86×23台=184,943kcal/H
184,943kcal/H×0.8=147,954kcal/H
147,954kcal/H÷860kcal=172KW
チラーユニットRCUP1800A5相当(消費電力56.3KW)
56.3KW×24H×25日=33,780KWH/月 ②

①+②=
157,353KWH/月+33,780KWH/月=191,133KWH/月
191,133KWH÷1,000,000kg=0.19KW/kg
15円/KWH×0.19KW/kg=2.85円/kg
短物1kgをめっきするためにかかる電気代は 2.85円

上記条件で長物が20%、短物が80%の比率であれば、合計生産量は 940t/月
その場合に排出する二酸化炭素の量は、
191,133KWH×0.8+38,991KW×0.2=160,704KWH/月
16.07万KWH×3.355t-CO2/KWH=53.9t-CO2/月
53.9t-CO2/月×12ヶ月=646.98t-CO2/年
年間生産量11,280tで、CO2排出量は647t-CO2 となります。

上記生産で使用のバレルは、200Lの容量があり、プレス品を大量に
処理することも可能です。
MAX投入量 70L
表面積 1,800dm2
投入重量MAX100kg

以上、ご質問等ございましたら、お気軽にお電話、メールでお問合せください。

株式会社 三隆製作

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