vol.27 中国めっき設備状況視察 No.32010.07.05
今回は、中国で見ためっき装置の現状を踏まえ、キャリヤー式とエレベーター式の
バレルめっき装置をご説明します。
■キャリヤー式
複数個のバレルに、1台の整流器より電気を供給。
上図の装置では、定電圧制御を行っている。
つまり製品が異なった場合、同じ表面積になるよう投入量を計算して
投入しなければならないということである。
しかしながら、上図のように整流器からの配線の長さが異なっていると
整流器から近い順で電気は流れやすくなるため、厳密には同じ条件ではない。
膜厚のバラツキはバレル毎にもある。
■エレベーター式
上記レイアウト図のような設備で、上昇-横行-下降を繰り返し、
前処理・亜鉛めっきを行う。
亜鉛めっきの場合は、①で入り浸漬したまま⑳(位置は設備の大きさにより
変化する)まで移動。⑳で上昇して出る。
キャリヤー式と異なるのは、全バレルが同じ条件下の状態を通過することで
めっき条件は同一と考えられる。
現在では、バレル毎に1電源を設置して、バレル内に入った製品の表面積に
応じた電流を流すことで膜厚の管理を行っている。
<考察> めっきはファラデーの法則により成り立つ
亜鉛めっきの場合、単位面積 1dm2 (10cm×10cm=100cm2)に、
1.0Aの電流を1時間通電した時、17.1μmのめっき被膜が析出する。
(0.285μm/分)
しかしながら、バレルめっきではバレル(容器)の中で、コンタクト(リード線)と
呼ばれる通電体に接し回転しながらめっき被膜が析出されていく。
そのため、計算を邪魔する要素が多く作業者の熟練度に任せることが多い。
下記の要素を一つ一つ分析する必要がある。
解決していけばCO2排出削減とランニングコスト削減につながっていく。
○ バレル内の亜鉛金属濃度は、時間の経過とともに低下していく。
○ バレルの回転数は、製品のめっき被膜の析出(膜厚)に影響がある。
○ バレル容積と製品の投入容積は、めっき被膜の析出(膜厚)に影響がある。
○ めっき槽内の亜鉛金属濃度を一定にするような管理が必要である。
○ めっき槽の温度もめっき被膜の析出(膜厚)に影響がある。
○ 投入した製品の容積は、めっき被膜の析出(膜厚)に影響する。
○ アノード(陽極)の表面積は、電気抵抗に影響する。
○ バレル通電時、通電接点の形状は電気抵抗に影響する。
○ めっき被膜析出(膜厚)に要する電気量は、電流密度の設定に影響する。
○ バレル穴の形状は、薬品の汲み出し量に影響する。
○ 薬品の汲み出し量は、給水量に影響する。
○ 薬品の汲み出し量は、排水処理から出るスラッヂに影響する。
○ 給水量は排水処理に影響する。
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