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vol.20 電解熱とめっき液昇温の関係(酸性浴)2010.03.10

前回vol.19に引き続き電解熱とめっき液温上昇の関係を考えます。

今回は酸性浴での開始温度の違う4回の実験結果から電解熱とめっき液温上昇を
計算し、液温と熱損失の関係をまとめます。

I社 酸性浴
<測定条件>
めっき液量 10,000L
整流器   7V 7200A・・・1台

測定時間
開始時 35.0℃ 37.3℃ 39.3℃ 40.8℃
10分後 35.4℃ 37.7℃ 39.5℃ 41.0℃
20分後 35.7℃ 38.1℃ 39.8℃ 41.2℃
30分後 36.0℃ 38.4℃ 40.0℃ 41.5℃
40分後 36.5℃ 38.7℃ 40.3℃ 41.8℃
50分後 36.8℃ 39.0℃ 40.5℃ 42.1℃
60分後 37.3℃ 39.3℃ 40.8℃ 42.2℃
結果 +2.3℃ +2.0℃ +1.5℃ +1.4℃

上記表より・・・
① 測定開始温度 35.0℃・・・60分後 液温は 2.3℃上昇。
② 測定開始温度 37.3℃・・・60分後 液温は 2.0℃上昇。
① 測定開始温度 39.3℃・・・60分後 液温は 1.5℃上昇。
① 測定開始温度 40.8℃・・・60分後 液温は 1.4℃上昇。

それでは、まず整流器発熱量を計算します。
整流器発熱量は、 7V×7200A×0.86Kcal×7台=43,344Kcal/H
次に、①~④それぞれの液温上昇に使われた熱量から電解熱、熱損失を計算します。

①測定開始時液温温度35.0℃の場合、60分間に2.3℃上昇
このことから、液温上昇のために使われた熱量は  10,000L×2.3℃=23,000Kcal
整流器発熱量は43,344Kcalなので
23,000/43,344=0.53   53%が電解熱として作用し、47%は熱損失

②測定開始時液温温度37.3℃の場合、60分間に2.0℃上昇
このことから、液温上昇のために使われた熱量は  10,000L×2.0℃=20,000Kcal
整流器発熱量は43,344Kcalなので
20,000/43,344=0.46   46%が電解熱として作用し、54%は熱損失

③測定開始時液温温度39.3℃の場合、60分間に1.5℃上昇
このことから、液温上昇のために使われた熱量は  10,000L×1.5℃=15,000Kcal
整流器発熱量は43,344Kcalなので
15,000/43,344=0.35   35%が電解熱として作用し、65%は熱損失

④測定開始時液温温度40.8℃の場合、60分間に1.4℃上昇
このことから、液温上昇のために使われた熱量は  10,000L×1.4℃=14,000Kcal
整流器発熱量は43,344Kcalなので
14,000/43,344=0.46   32%が電解熱として作用し、68%は熱損失

上記4つを比べて。
液温が高くなると、熱損失が大きくなり電解熱が小さくなることがわかります。

次回は、長尺物における均一電着性向上試験の結果を公開いたします。

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